グリーンライン下北沢

線路のあとちを、地域の宝に! みんなでつくろうグリーンライン

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グリーンラインが目指す 「8つのヴィジョン」

「グリーン」とは、そもそも自然、植物を意味しますが、「緑=グリーン」の言葉がもつ広がりある理念を意味し、人と自然がつながり、人と人がつながるコミュニティを育む場となることを提案します。多様な人々が自らの場として、みんなで作り、みんなで使うという「市民参加」のプロセスを大事しながら、可変性の高い空間を8つのヴィジョンに基づいて創りあげていきましょう。

1.安心・安全・防災に配慮した地域全体の「連続性」
2.地域独自の歴史、文化や界隈の特色を生かした空間
3.いのちを守り地域を育む、連続した緑のランドスケープ
4.あらゆる人々が楽しめるユニバーサル・デザインで施設と情報を提供
5.まちとつながり楽しく歩ける回遊空間
6.「鉄道の記憶」「駅前市場のDNA」は歴史を引継ぐキーワード
7.次の世代に引継ぐ魅力ある公共空間を創造し、守り育てる
8.持続可能(サステイナブル)なまちを支えるエコロジカルパーク


これまであとちの会で共有していた、「あとち利用の7原則」を改定して、グリーンライン下北沢で共有しました。


 

1.安心・安全・防災に配慮した地域全体の「連続性」

2.2kmを連続して利用できる避難路整備を考えるとともに、安全な避難場所としての諸機能を整備します。それは、災害時だけではなく、例えば、煮炊きをする場はバーベキュー利用などができるよう工夫をしたデザインやあり方が望まれます。大規模災害時に緊急車両の利用を考えた避難路は、日常的には自転車路とし、歩行者通路とは分離する計画づくりを目指します。そして、既存道路とグリーンラインの交差部については、歩行者系優先の動線を前提にした方策を考え、安心・安全・防災に配慮したグリーンラインを創造していきます。

 

2.地域独自の歴史、文化や界隈の特色を生かした空間

下北沢を中心とした東北沢から世田谷代田界隈まで、グリーンラインの創出により分断されていた地域が結び直されます。羽根木公園、代田八幡宮、北沢八幡宮などの神社、北沢川緑道まで豊かな緑ある住宅環境もあります。戦前より多くの文化人が住んできた地域として知られ、自由な気風が育まれてきました。1980年代からは劇場のまち、音楽のまちとしても発展し、若者文化のまちへと転身をとげました。今後は、若者のみならず成熟文化という視座も含めて、これらの文化的背景をさらに発展させる空間や施設づくりが望まれています。

3.いのちを守り地域を育む、連続した緑のランドスケープ

植栽は、グリーンラインにとって最も基本の大事な要素です。単なる飾りとしてではなく、常緑樹の連なりは災害時に防災林として効果がありますし、ヒートアイランド現象の緩和もします。持続可能な環境をつくり、花々や水辺が人々の心を癒すと同時に自然との共生を促し、ボランティアの参加や共に収穫を楽しめる果樹園や農園がコミュニティを育てることでしょう。この地域の心のふるさとのシンボルとなるような小さな森を育てることも提案します。

4.あらゆる人々が楽しめるユニバーサル・デザインで施設と情報を提供

グリーンラインは、子どもからお年寄りまですべての人が安心して楽しめる場所でありたいと思います。そのためには施設や通路などはユニバーサル・デザインに基づいたものを整備し、情報提供のための案内所も必要です。だれもがゆっくり楽しめるフリースペース、木陰のベンチ、水浴び噴水などが点在して、そこにくつろぐ人々やお店の人が見守り合う、家の外で家庭を感じるような暖かい場所が望まれます。

5.まちとつながり楽しく歩ける回遊空間

下北沢の大きな魅力は、人と人、人とお店が近い、歩いて楽しい路地空間と、その回遊性にあります。グリーンラインは、さらにそのエリアが大きくなって人々を惹きつけ、賑わいをつくりだします。そこに車や自転車と分離された、安心して歩ける歩行者優先の空間を提供することは、商店街を含めた下北沢のネットワークを広げ、より沢山の人々が訪れ楽しむ場が創出されることでしょう。

6.「鉄道の記憶」「駅前市場のDNA」は歴史を引継ぐキーワード

小田急電鉄の列車がまちを走りぬける姿は、当たり前でだいじな景色であり続けてきました。そんな鉄道の記憶を、例えばレールを使った施設や、レール、架線柱、踏切などのある景色としてグリーンラインに点在させて残してゆくことを提案します。また、下北沢が賑わいのあるまちとなった歴史の礎には、このたびの開発で取り壊される駅前市場があります。それは、長年、人々に愛され続けたまちにとってのDNAでありシンボルです。そうした歴史やデザインをバザールなどに引き継いだ空間ができていくことを希望します。

7.次の世代に引継ぐ魅力ある公共空間を創造し、守り育てる

グリーンラインは、いっぺんに出来上がる場所ではありません。そして、つくって終わりの場所でもありません。持続可能なまちを、住民参加でつくりつづける、変わりつづける公共空間です。遊び場としてはもちろん、子どもや中高生、若い人、そして、お年より、みんなにとって居場所となる空間です。さまざまな分野に詳しい人、面白い大人がいるような交流の場。若い人や仕事のない人が働いたり、チャンスを見つけられる場。地域通貨なども考えられます。子育てがしやすく、敷居なしに人々が繋がれる場が、わたしたち自身のふるさとになっていくことでしょう。

8.持続可能(サステイナブル)なまちを支えるエコロジカルパーク

まちは未来の世代に引き継いでいくものです。わたしたちは「グリーンライン」をエコロジカルな場であり、まちを持続可能とするモデルにしたいと思います。太陽光などの再生可能なエネルギー。落葉、伐採木、雨水利用などの自然循環。そこでの、環境教育や運営システムそのものが人を育てます。常に変化し、発展し続ける文化的な活動。これらを含んだ「グリーンライン」は、単純な風景のデザインや、まちのインフラ整備だけではなく、これまでにない環境とコミュニティをつくりだす創造的なチャレンジであり、世界へと発信できるパラダイムシフトに基づく新しい価値の提案なのです。

公開日:
最終更新日:2018/01/08